教育の理想を求めて

基本とは



基本とは、それを習得した人間にとって当たり前な事であるが、それを習得していない人間にとって理解しがたい事なのである。

仕事の基本というのは、普遍的、不変的な事とされている事である。
不変的、不変的な事というのは、どうでもいいくらい、些細で当たり前な事と思っている事なのである。
百人が百人、当たり前じゃあないですかという事があったら、それが基本的な事なのである。故に、基本的な事というのは、普段は、意識の深層部分に埋没している。
しかし、時々その当たり前だと思っていたことに異変が起こり、表面に表れてくる。そうすると世の中は灰神楽をひっくり返したような大騒ぎになるのである

我々は、基本基本と厭になるほど言われ続けてきた。
特に十代の時は、基本、基本と・・・。それは今にして思えば十代こそ基本を身につける時だからである。逆に、応用が利かない、融通の利かない人下、枠にはまった人間を作る原因ともなった。しかし、それでも基本の重要性は変わりない。

基本というのは、基本を身につけた者には、それを教える事さえ憚る程、失礼な事だと思うほど当たり前な事なのである。だからついつい蔑ろにしてしまう。また、適当に教えておいて、後で直せばいいと安易に決めつける。しかし、最初に変な癖がつくと下手すると一生治らない。基本を身につけていない者にとって基本ほど難しい事はないのである。

基本的な事は、無意識なところまで行く。基本を身につけた者は、できて当たり前であってそんなことをことさら教えるまでもない。かえって失礼であると思いがちである。
自分たちが基本だ、常識だと思っていることが社会一般で基本なのか、常識なのかを定期的に見直しする必要がある。常識は、不変的、普遍的とは限らないのである。

人は、朝起きてから仕事に行くまで一定の形を持っている。また、出がけや帰宅時、車の運転をするときも形がある。それがその人の形である。

この様な形というのは、普段意識する事はない。無意識にやっている。意識するとギクシャクする事になる。
基本とはそのような事である。

注意しなければならないのは、基本は絶対でもなく、不変、普遍でもない。
その人が、あるいは、集団が普遍的だ、不変的だとしている事である。

また、基本と善悪の基準とは別である。
世の中の基本だとしても善だとは限らない。
また、ある人にとって基本は善であっても別の人にとって悪であるような場合もある。

基本的な事の多くの部分は、社会的に共有される。
基本は、その社会では当たり前な事なのである。
だから、基本的な事は一定期間継続されると文化となる。

ところが基本ができていない者は、この当たり前な事ができないのである。
基本的な事ができない者は、人と変わった事、奇異な事をやろうとする。
そうすると基本を当たり前な事としている者にとってその人間は特殊な存在となる。
全体の規律や統制を乱す事によって全体を破壊する危険な存在として排除しようとする。

基本に反する事は、その人にとっても社会にとっても危険な行為である。

世の中を変革するとか、いくつかの集団が統合するという事がない限り、基本に反する行為は無意味である。まず基本を身につける事が、社会全体の一因となる事を意味するのである。

この点を理解しておく必要がある。
基本というのは、特殊な事でも、特異な事でもない。
基本を習得した者にとってごくごく当たり前な事なのである。
基本を習得するためには、教える側の人間も教わる側の人間もこの点を理解しておく必要がある。
なぜこんな当たり前な事を言われなければならないのか、なぜこんな当たり前な事を教えなければならないのかと思ったら、基本は習得できない。

よく解っている者ほど確認する。わかっていない者ほど確認をしない。
基本を身につけていない者ほど、基本を蔑ろにする。基本ができている者ほど基本を大切にする。

基本は、日常的な些細でつまらない、一見無意味な事を反復する事でしか身につかないからである。

それを戦後の日本は否定したから、世の中から常識は消え、無秩序な状態になったのである。
無秩序な社会に自由はない。あるのは無法だけである。




教育は単純反復繰り返し

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