プロローグ

 志さえあれば、いつでも学校は、作れる。金もいらない。建物もいらない。唯、同じ志を持つ者を捜せばいいのだ。

 昔は、本があれば、志のある者が集まってきた。昔は、書物は、希少であるうえ高価であった。だから、志のある者は、書物を借りに行った。高価であるから持って帰るわけに行かない。書物の持ち主は、場所を提供した。そうやって多くの学校が生まれた。
 本を借りた者は、書物を汚した時は、写本をして返した。また、幾ばくかの志を置いた。それは、本当に志だった。貧乏で金のない者は、薪を割ったりして、働いて返した。それが志である。
 だから、志さえあれば、学校はできる。

 皆、学校を作ろうなどと言うと、なんと大それた事を思う。しかし、学校なんて、元々、自分達で創り出すもの。御上、国家に作ってもらうような代物ではない。志が創り出すものだ。心の中に描けば、学校は生まれるのである。

 国を作ることだってできる。先ずどんな国にするかだ。王国にするか。共和国にするか。自分達の思いがあれば、何だってできる。志さえあれば、何だってできる。

 かつて、大学紛争があった時、多くの仲間が、反大学を称え。大学を内部から改革しようと試みた。しかし、所詮、学生は、学生。ことごとく、挫折し、失敗をしていった。だから、その時、歌われた曲は、哀れで、物悲しい曲ばかりだ。

 自分は、その時、自分が、気に入る大学がないのならば、自分達で作ればいいと思い、活動した。その時は、結局、実を結ばなかった。しかし、想いは、今でも変わらない。自分達で大学を作ればいい。そして、ついでに、都市も作ればいい。

 だから、大学を作ろう。反大学ではなく。大学外大学。僕らの大学を作ろう。

 先ず入り口を作ろう。その次に出口だ。入り口も出口もない世界を造っては駄目だ。私は、いろいろなサークルを作った。そのとき、真っ先に出口を作った。多くの仲間が、なぜ、辞め方を先に作るのかと、文句を言った。しかし、辞め方の解らないサークルなんて恐ろしくて、入る気にならないだろうと押し切った。いつでも辞められると思うから、皆は、安心して、サークルに参加できるのだ。

 かつての運動体には、辞め方を決めていない組織がかなりあった。一度は言ったら抜けられない。やくざみたいな組織だ。酷い奴は、死刑だなんてあった。それ自体、自由ではない。だから、辞め方を真っ先に作った。それもなるべく簡単に辞められるように。出口をちゃんと作ろう。

 我々の世代は、何もかもぶち壊してきた。ぶち壊すには、ぶち壊すなりの理由がある。しかし、ぶち壊しただけでは、何も、生まれない。破壊するだけでは駄目なんだ。その後に何を想像するかだ。

 今なら、インターネットがある。インターネットを使えば、昔よりも、簡単に、大学が作れる。むろん、インターネットがなくても学校はできる。でも、インターネットを使えば、更に可能性が広がる。だから、学校を作ろう。

 破壊から想像へ。そうだ、学校を作ろう。



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