教育の理想を求めて

企   画


企画仕事は、模型作りに似ている。
模型作りに慣れていない者や下手な者は、何の準備、用意、構想もなしにいきなり設計図も見ないで模型を組み立て始める。
その結果、出来上がってみると部品が余っていたり、上手くはまらなかったり、やる事が前後してやり直さなければならなくなったりする。
最悪の場合、壊さなければならないはめになる。
企画を最後まで責任をもってやり遂げるためには、まず最終型を想定する必要がある。
つまり構想を練るのである。その構想に基づいて絵を描く、即ち、設計図を作る。

設計図と工程表は違う。この点を誤解している者が結構いる。
だから計画を立てろというと設計図を書かずにいきなり工程表を作ろうとする。
設計図というのは、最終型を指して言う。最終的形を図式化して見えるようにした物と言える。設計図がないと基本的には工程表はできない。なぜならば何をしたらいいのかわからないからである。作業を洗い出しようがない。

設計図ができたら設計図に基づいて工程表を作る。まず、設計図から何を準備するのか、何をやるのかを把握する。
何を準備し、何を用意したらいいのかがわかったら、次は細かい部分、部品の洗い出していくのである。
ここでいう部品というのは、計画を組み立てていくための部品を言うので、部品と言っても物とは限らない。情報や、知識、作業なども部品の一種である。
その後、作業の組み立てに入っていく。
やるべき事、用意すべき物に沿って作業を洗い出し、手順に組み立て、日限を割り振っていくのである。それが企画であり、計画である。

何をやるのかがわかったら、それに沿って役割分担を決めて組織を設計する。
組織を設計するにあたっては、その前に責任者を決め、当座の担当者を決める。

責任者を決めなければ、爾後の仕事は進まない。進まないはずである。なぜならば、仕事は、責任者の構想に基づいて進められるべき事だからである。

それは、野球の試合などを考えればわかる。監督を決めずに、選手のあらかたを決め、核となる守備や打順まで決めてから、監督を選ぶなんて考えられない。
また、選ばれた監督や選手を見ればどのような思想で、どの程度のチームかの見当がつく。それほど組織づくりは重要なのである。そう言ったノウハウ手順を団塊の世代は、次の世代に伝承してこなかった。次の世代に伝承したら、自分たちの立場が危うくなるからである。次の世代ずっと奴働きをさせてきた。それで人が育っていない。それで今の若い者はというのはお門違いである。自分たちが躾けていないのが原因なのである。
団塊の世代は組織運用や仕事の段取りを教えてこなかっただけである。その理由は、自分の保身のためにとしか言いようがない。

担当者の時代が長い者は、どうしても視野が狭くなる。自分のやってきた事、やる事ばかり見ていて全体が見えなくなる。
周囲の人間と自分との関係位置がわからなくなり、混乱する場合が多い。
そういうものがチームリーダーを任されて全体を差配しなければならなくなるとどうしても全体のバランスが乱れがちになる。特定な個所に注意が集中しがちだからである。
やる事を考えると言ってすべての作業を言うのであって目の前の作業だけを指しているわけではない。作業には前後があり筋道があり、全体がある。仕事を成就させるために必要な作業を重複なく、漏れなく、全て洗い出し、それを順序に沿って組み立てる必要がある。

また、仕事には、ワンマン、ワンワークの原則がある。一人の人間に同時に複数の作業をさせてはならない。ワンマン・ワンワークの原則を守るためには、全体の仕事を個々独立した作業に分解する必要がある。

分解された個々の作業には、全て五W一Hの要素がある。また、全体の仕事にも五W一Hがある。
仕事というのは、フラクタルなのである。

要約するとまず構想を立てて、構想に基づいて当日の概要を作成し、期日を決めて当日までにやっておく事、用意する物を洗い出す。(作業の洗い出し)洗い出した作業をリストにしたうえで、作業の順番を決めて手順に従って組み立て、仕事を割り振って誰に担当させるかを決める。
最終型は、基本的に五W一Hの要件を満たしておかなければならない。そこで立てられた期日に基づいて凡その日程を決めておく。
日程は、実施日、実施期間を予め想定し、実施日、実施期日から遡って大枠を想定する。
つまり、立ち上げた日を起点として、実施日、実施期間を終点としてその間をいくつかの枠に区切るのである。
枠組みとは、計画を立案し実施し、後始末をするという過程を想定し、その過程に段階をつくて区切る事である。枠組みそのものに特段の意味はない。それはある意味で作業の下書きみたいなものだからである。
作業には、期間がある。故に作業の始点と終点を明らかにする必要がある。始点を特定するのが指示であり、終点を特定するのが報告である。故に、仕事は指示で始まり、報告で終わるとするのである。
枠組みができたら、次に、作業の骨格を作る。作業は、通常、組織的に行われる。
故に、実際の作業は組織作りから始まる。組織づくりは、組織の根幹作りから始まる。組織の根幹作りはまず責任者を特定し、その責任者と相談の上、担当者を決める。
この最初に指名する担当者は実質的なサブとなる。
サブには、副官タイプ、参謀タイプ、事務局タイプの三つのタイプがある。どのタイプを、だれを選ぶかは、責任者の意思を尊重して決める。以後の仕事は、責任者と担当者が分担して進めていくことになるからである。それは責任者がデザイン(設計)する事だからである。

選手の打順や守備位置を決めてから、監督やコーチを決めたら監督やコーチは何もできなくなる。こんなことは当たり前にわかっているはずである。わかっているはずなのに、日常にやっている仕事の段取りでは、よく仕事の段取りや割り振りを決めてから責任者を決めようとする。それでは最初から組織を否定するようなものである。

次に、責任者とサブが強力して核となる部分を構成する。
まず必要とする、あるいは、今活用できる人材をノミネートする。
核となる部分は、洗い出された作業とノミネートされた人員とを組み合わせながら決めていく。

その為には、予めやるべき事を明らかにする。
やるべき事は、主たる仕事、主たる仕事を制御統制する事務・管理の二つの部分がある事を忘れてはならない。
また、組織は、計画段階、準備段階、実施段階、後処理段階の段階ごとに変化する。全ての高低を一貫した組織で行くか、個々別々の組織にするか、あるいは状況段階に応じて組織を変えていくかを、方針として、あらかじめ決めておく必要がある。

核となる人員が定まり、役割分担が決まったら、次に仕事に筋道をつけていく。
仕事の筋道とは、仕事の一連の流れである。誰が、どの部分を担当し、どの程度の権限を持たせるのか。どのような手順段取りで仕事を進めていくのか。いつ誰に報告し、また、指示を仰ぐのか。また、マイルストーン、道標をどこに、また、何に置くのか。そういった個々の担当の仕事の筋道をつけるのである。

筋道を決める際に、意思決定の手順、作業の流れを想定しながら組織や工程に組み込んでいくことを忘れてはならない。それが各自の権限や責任の範囲を特定るのである。

筋道ができたら、仕事の起点と終点を定める。仕事の起点には、顔合わせ、オリエンテーション、説明会、キックオフミィーティング等がある。終点には、打ち上げ、報告会、反省会、総会等がある。
起点と終点は、公式、正式な起点と終点であり、起点以前には、準備会のような予備的機関、期間、非公式な部分がある。また、終点の後にも記録、保管、監督といった事後的機関、期間、非公式な部分がある。その部分を俗に糊代というのである。糊代の部分を正式な形にするのが難しいのである。企画において目に見えない部分である。
起点と終点が定まったら、後は枠組みに従って骨格を作っていく。

建設業界などでは、作業を図式化したものとしてパート・コスト法のアローダイヤグラムがよく用いられる。始点と終点をイベントで示し、その間の作業をアローで表すのである。

仕事には、リズムがある。そのリズムを作るのが定例会や式典といったイベントで、仕事の流れを整えるのが手続きである。定例会や手続きを無視すると仕事の流れを作り出したり、整えたりすることができなくなる。仕事は組織的に展開されるという事を忘れてはならない。重要なのは、組織全体をどう制御して仕事を軌道に乗せるかなのである。
段取り、手順、手続きを無視すると組織は、意思決定を正式なものとして受け止めずに、作業が停滞したり、統制できなくなって分解してしまう。この点をよくよく注意する必要がある。
組織的な仕事は全体のバランスをとることが肝要なのである。
だから、個人プレーや抜け駆けのような行為は、全体の統制を乱す事になり、厳罰を処さなければ示しがつかなくなるのである。
定例会議や連絡会、式典等のイベントが設定できたら、その定例会議や連絡会、式典といったイベントの間を作業を振り分け担当者を決めて計画を組み立てていく。
実際に作業が始まったら、予実績管理をしながら状況の変化や環境に合わせて組織や作業の組み換えをしていく。ポイント、ポイントで報告を実施し全体を制御していく。

報告は、けじめである。報告は自分のためにする。
報告をすることでやってきた事を整理し、考えをまとめる。そして、次にやる事を見定めていく。また、常に、報告先、報告相手を意識することで作業の目的や照準を合わせる事ができるようになる。
また、報告をすることで一つの作業の区切りをつける事にもなる。報告を記録することで責任の所在や歯止めを作る事になる。間違いがあったら記録を辿って間違った箇所を突き止める事もできる。だから、報告をするのである。報告をすることを嫌がっていたら、組織は統制が取れなくなる。

報告をして次の指示を仰ぐ。

常に、チームを意識することが大切である。大きな仕事は一人ではできないのである。
無能な者は、無能だという事だけでリーダーになれないとは限らない。万能な者がいたとして万能だという事でリーダーになれるとは限らない。
リーダーがリーダーたるゆえんは、自分ができる事できない事、自分の限界を知り、仲間の能力を引き出せるかにあるからである。自分が何ができて何ができないかを認められない者は、リーダーとなる資格はない。
自分ができない事が恥じなのではない。自分ができない事を認められない事が恥じなのである。
リーダーたらんと志す者は馬鹿になれ。わからない事はわからないとしてわかるまで聞く。わからない事をわかったとして、知ったかぶりするのが一番悪い。
致命的な失敗は自分の得意とすることでやる。車の運転をしない者は、車の運転で事故る事はない。車の運転が得意なものに限ってくるまで大事故をするのである。
劣等感や欠点を克服し、受け入れられた者だけが指導者になれるのである。

リーダーは、リーダーという役割を演じているのである。

構想段階、計画段階というのは、観念的な行為である。要するに目に見えない。しかし、目に見えなければ、組織的に仕事をすることはできない。だから、頭の中で作り上げた事を目に見えるようにし、組織的に操作することを可能とするのが、企画である。
自分ひとりの頭の中でこねくり回しているうちは構想も計画も実現できない。
観念を人、物、金によって実体化する行為が企画なのである。
だから目に見える形に置き換える事が求められるのである。

仕事は、組織、作業、時間、予算、場所が複合された事なのである。
組織、作業、時間、予算、場所を体系化したものが企画である。

Plan・Do・See・Checkの実際である。


参考
決めるという事
筋道を立てる
ルール
準備
計画は作曲に似ている
チームワーク
管理はプロセス
指示・命令
反権威・反権力・反体制という思想
組織は情報系
仕事の論理
執務要領
指導要領
社会に出て困らないようにする
組織の原則
組織とは
組織嫌い
情報は縦の流れだけではない
組織的意思決定
物事には順序がある。
仕事の基本
報告は礼儀である。
仕事に学び。仕事を覚える。
チームワークの基本
報告書の書き方
企画書の書き方
仕事には、始まりと終わりがある。
チームワーク・集団活動を学ぶ
手順・段取り
報告・連絡・相談
執務要領


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